トンキン湾は何度目か?

今度は米・仏を中心とする西欧の大国が、シリアへの軍事介入を発動しようとしている。事ここに及んでようやく日本においても、こうした動向に対する「反戦運動」の一定のリアクションが生まれているようだが、運動を呼びかける発言の中で「第二のイラクを許すな」という種のものを見ると、どこまで真面目に運動が貫けるのやらと感じないわけではない。「第二のイラク」だったらすでに、リビアあたりに現出しているのではないのか? たとえば、いずれも開戦まで似たような経緯をたどっているのに、なぜイラクやシリアを助けてリビアは放っておいたのだと、軍事介入に賛成する種の人々(ごく素朴な同情者から、救い難い「戦争賛成左翼」まで)につつかれたら、こうした「平和運動」はどう説明するのか? もっとも欧米でも、2003年のイラクからの10年を記憶喪失しているとおぼしき「平和運動」もあるようだから、「我々」のみが立ち遅れているわけでもないのだろう。喜ばしいことではまったくないが。ともあれ、世界の状況の見方においても運動の理論においても、「人道的介入」理論=イデオロギーのヘゲモニーにすっかり呑み込まれてしまっている限り、こうした運動の力は大きく封じられたままであろうことは繰り返し指摘しておきたい。


もちろん、「シリア政府が神経ガス(サリン)を使用した」とする反政府勢力の告発に対する疑問からの、「反戦運動」の立ち上がりそのものがおかしいと言いたいのではない。蓋然性の問題である。一時は相手方に押されていた内戦で巻き返しに成功しつつあり(リビアでも空爆まではそうだった)、わざわざ国連からの監視団を招待してみせる余裕もあった政府がこのタイミングで禁じ手を使うだろうか、また、前々から「神経ガス攻撃」については、政府側と同じくらいには反政府側の使用の可能性についても言及されているが、そうした情報も考慮に入れるべきといった問題意識から、人が違和感を覚えるとすればそれは道理というものであろう。以前から、リビアとシリアを同じ地平で考える種の「平和運動」の一つとしてわたしは、イタリアの反戦情報サイト「シビア/リリア」(注1)を何度か取り上げてきたが、今回は「神経ガス攻撃」が発生したと考えられる、8月21日の翌日付けでこのサイトに掲載された記事「シリアにおける化学兵器使用:新たなトンキン湾事件か?」を紹介したい。速報的記事――本当は8月中に公開したかったのだが――として、文章に無駄な重複があったりリンクのかけ方が中途半端であったりという点が気になるし、「反政府側による神経ガス使用の告発」ヴィデオへの反駁(注2)においても、その疑問点は理解するにしても解釈には拙速な部分も見受けられる。しかし、こうした「誰ヲ利スルヤ〔cui prodest〕」という、素朴だが合理的な観点からの検証が不可欠であり、美名の下に野心を隠した戦争を正当化する理由の立ち上げ、ここで言われる「新たなトンキン湾」(実はそれほど新しくはないのだが)の危険を考える上で、この一文は一出発点たりうるものであると考え、稚拙な訳を提示する次第である。なお、訳注のほか、本文内において簡単な補足は〔〕内に付した。


http://www.sibialiria.org/wordpress/?p=1865





シリアにおける化学兵器使用:新たなトンキン湾事件か?
2013年8月22日



シリアの反対派勢力が、8月21日に行わされたサリン・ガスによる攻撃によって、ダマスカス東部のゴータにおいて数百人もの市民を国軍が殺害した、すなわち西側諸国がシリアへの直接介入(飛行禁止区域、空爆)のために設置したレッド・ラインを超えたとして、国軍を非難している。シリア政府は武装勢力に対し反駁していているが、ロシア、複数のメディア、外交官及び専門家も当惑を表明するとともに、「誰ヲ利スルヤ」という点に光を当てている。


以前より軍事介入と戦争を挑発する虚偽に対抗することを任務としてきた「シビア/リリア」は、この事件についての最初の論考にて、以下の点を分析する。
A) ネットで今日までに公開された映像と「証言」の中で様々に見出される、つじつまのあわなさ、もっともらしいフィクション、総じて、責任に関しての証明の欠落。
B) アサドに反対している調査者たちによってなされた分析もまた、武装集団の側を指差していること。
C) 今日までシリアで発生した無数の「化学兵器の脅威」についての経緯と目的……


「シビア/リリア」編集部


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2013年8月21日の未明、ダマスカス近辺のゴータ地域において、政府軍が神経ガスで攻撃し、眠りについていた数百人もの市民を殺害したとシリアの反対派勢力は非難した。すなわちそれは、ダマスカスに国連調査団(シリア北部のKhan el Assalで起こったと想定される化学兵器の使用について、まさに調査する任務を負っていた)が到着し、ブリュッセルにおいては、とりわけシリアの非常事態を議題とした、諸国外相会議が招集されているのと時を同じくしていた(別の多くの非難を生んだ多数の虐殺の際のように)。


想定された攻撃に関しては様々な見解や、複数の悲劇的なヴィデオが存在しているものの、それらには議論の余地があり、何が発生したのか、その責任者は誰なのかということについての客観的な指標はまったくない。このニュースをもっとも流布している媒体の一つは、またもやアル=アラービーヤのネットであるが、彼らの一連の情報操作は新しいものではない(2011年2月における「一万人ものカダフィの犠牲者」についての彼らの報道を思いおこそう)。この放送局は事件について二つの発表をしている。最初は犠牲者数を280人とし、二度目には1188人としている。他の機関が提供する数字を挙げれば、「軍事革命評議会」は1300人、「シリア国民連合」は650人、「地域調整委員会」は750人の死者を数えている。ロンドンの「シリア監視団」の挙げる犠牲者の数はより少ないものの、多くの子供の死者について強調している。


主流メディア、外交官、反対派の情報源までが、シリア国軍の責任ではないかもしれないと疑っている


少なからぬ主流メディア、専門家や外交官たちが、上記のニュースの真実性に疑念を呈している。


非通常兵器の分野の専門家である、Gwyn Winfield〔原文はWinfiled〕は、8月22日の『レプッブリカ』のインタヴューにおいて、以下のように指摘している。「昨日のシリアにおける毒ガス攻撃は、新たなトンキン湾事件としての完全な性格を有していると思われます。外国勢力の軍事的エスカレーションを正当化するために抜け目なくこしらえられたこの“開戦理由〔casus belli〕”は、1964年にヴェトナムへのアメリカの軍事介入を正当化した、あの事件のようです」、Winfieldによれば、この虐殺の筋書きはアサドが書いたものではない。「化学兵器に関する調査のため国連から派遣された査察官がダマスカスに到着するのと同時に、この種の攻撃をアサド政権が行うとは信じがたいです。あらゆる殺人事件に対して、刑事が自問するようにふるまわなければならないでしょう。“誰ヲ利スルヤ”と。この事件は、あらゆる事件の責任を負わされることになる政権にとって、確かに好都合ではありません」。


BBCの特派員Frank Gardnerはこう自問している。「アサド政府は、最近地上戦で反乱側を制圧しつつあったのに、なぜ国連の査察官が国内にいるにもかかわらず、化学兵器による攻撃を実行しなければならなかったのだろうか?」


さらにスウェーデンの外交官である元国連査察官のOnu Rolf Ekeusもまた、ロイター通信でこう発言している。「これが政府の仕業とすれば非常に奇妙ではないかというのは、まさしく現在かの国に国際査察官が入っているからだ……少なくとも、賢いこととは思われない」。


国連査察官の一団を率いている、スウェーデン人の化学兵器専門家Ake Sellstromもまた、この攻撃の原因についての当惑を表明するとともに、とりわけ主流メディアで報道される死傷者の数の多さへの「疑念」に言明している。


『イェルサレム・ポスト』にすら、ガス攻撃という推定についての疑問が現れている。その例としては、IHSジェーンズ・テロリズム&蜂起センターの分析家である、Charles Listerの発言が挙げられる。「論理的には、ちょうどこの時、とりわけ(国連のチームの)到着する都市に比較的近いところで化学物質を活用することは、シリア政府にとってはほとんど意味をなさないだろう」。


また、在ジュネーヴ・教皇庁国連常任オブザーバーのSilvano Maria Tomasi師もこう述べている。「私見では、責任があるのがこちらかあちらかと問う際には、予断から出発することはできません。我々は事実を、また直接の利害関係という観点から、ダマスカスの政府にとって無益なこの種の悲劇がなぜ起こったのを明らかにすべきであり、そうやって直接誰に罪があるのかを知ることができるのです、殺人事件の調査に際してのように、問う必要があります。こうした非人間的な犯罪が本当に利するのは誰なのか? と」


ロシア外務省広報官のアレクサンドル・ルカシェヴィッチは事件について、地域のメディアによって制御された組織的な攻撃キャンペーンを伴った、シリア政府に責任をなすりつけている「計画的な挑発」であると発言した。ロシア外務省は、独自の情報を引用しつつ、未特定の化学物質を含んだ手工業的に制作されたミサイル(シリア政府が国連の調査官による調査を要請していた、先の三月のKhan el Assalにおける虐殺で活用されたと考えられているもののような――編集部注)が、反対勢力の支配下にある地域から発射されたという仮説を提示している。


シリア外務省の広報官は、毒ガス使用の告発に対し「虚偽」のラヴェルを張るとともに、それが「Khan el Assalでの使用が想定される化学兵器についての調査を展開している国連の査察官を妨害する」ためのものであるとしている。


情報サイト(親政府派ではない)「シリア・トゥルース〔SyriaTruth〕」は事件を、ラタキアとダマスカスの「トルクメニスタン人旅団」、とりわけ「イスラムの旗」と「預言者の末裔旅団」によって組織された計画により詳しく結び付けている。ここでは、こうしたグループが、ラタキアにおける宗派的浄化の虐殺を果たすための軍事作戦の中では「要求に応じた殺戮」に活用でき、ダマスカスに対しては国際的なメディア・キャンペーンをかきたてることのできる、化学物質を入手することに成功したと考えられている。とりわけ、最近2013年8月14日に同サイトに発表されたレポートにおいて明らかにされているように、ダマスカス周辺における殺戮はすでに計画されたものであり、ダマスカスへ国際調査使節団が到着するのに合わせて、それは8月の第三週の始まりに、なされていなければならなかったものである。


アサドの飛行部隊に打撃を受けた反対派によれば、化学攻撃についての説得性の欠如についての興味深い考察が軍事専門家によってなされており、彼らは8月21日のゴータ一帯にはかなりの風が吹いていたようであると指摘している。つまり風によって周辺地域にまで甚大な犠牲者を出してしまうことから、技術的には化学攻撃にほとんど適さない天候状況であったということである。


「証言」とヴィデオ


流布している写真と映像の情景は非常に激しいものではあるが、多くの疑問を引き起こす。より完全な検証は別稿に譲りたい。ここではいくつかの点に触れるにとどめる。


1)とりあえず、実際にこうした攻撃がおこなわれた、またそれが――反対派武装勢力の情報源の主張に従って――8月21日の未明(こうした情報源のいくつかによれば、より正確に朝の3時台)に行われたとすると、市民に対する攻撃の結果を記録したはずの映像が、どうして8月20日の時点ですでにネット上にアップされていたのだろうか?

例として、反アサド派勢力によって流布されているこの映像は、8月20日づけでYou Tubeにアップされているだけでなく、明らかに昼間に撮影されたイメージである。それから他にもこの映像これも、これも、これも、8月20日にアップされている。


この明白なつじつまの合わなさにも関わらず、これらの映像は直にネットで喧伝され、多数の言語にも訳されており、攻撃の結果についての反駁し難い証拠として提示されている。


2)いくつかの種のヴィデオについて、「シビア/リリア」は今後の論説で詳しく検証していくだろう。ここでは、「反アサド派」により制作され流布している、攻撃を「証明する」映像の多くを特徴づけている、つじつまのあわなさについて限定して指摘したい。


今のところ非常に疑わしい点は、これらの映像において、死んだもしくは死にかけた子供たちのそばにはまったく母親が現れず、唯一登場しているのは男性たちであり、彼らはアラーに救いを求めアサドを呪っているというより、子供たち(テレビカメラが独占的に活用されていると言えよう)を取り扱うために存在しているのではないかということである。


「救助隊」を描写しようとしているとおぼしき別のヴィデオにおいては、何人かの男性は手袋とマスク(おそらく「医者」としてふるまっている)をつけているが、多くの場合子供たちがたくさんの人間に踏み入られる床(病院では確実にないどこか)の上に寝かされていることを考えあわせても、衛生的な予防措置が理解されていない。同様に、神経ガス攻撃の犠牲者と想定されている人々が示す症例も疑わしい。こちらの解説によれば、症例のあらわれ方は確かに幅広い(様々な要素に基づく――吸い込んだガスの量、患者の年齢、解毒の作用……)ものだが、一般的には、大小便のたれ流し、鼻血、痙攣、赤いよだれ〔イタリアのマルクス主義グループのサイト「コントロピアーノContropiano」による報道分析〕などの症状が現れる。こうした症状は生存者の様子には表れておらず、彼らの衣服に残っていてもよい大小便のあとも存在していない。ヴィデオの中で映っている病気の原因が、神経ガスの使用によるものではないという同様の懐疑論を、化学兵器の専門家であるJean Pascal Zandersも表明している。


いくつかの撮影映像においては、床に並べられた子供たちが現れ、これらの映像自身が示唆せんとするところでは、彼らは死んでしまっていなければならないはずだが、もし彼らの何人かが動いていたらどうだろうか。あるヴィデオ(「反アサド派」によって制作された複数のヴィデオを照合し分析したもの〔のイタリア語訳〕)による裏付けから当惑させられるのは、ある子供(もしくはその肉体)が三度にわたって同じ部屋の三ヶ所に現れたり、ヴィデオの論理においては死んでいなければならない別の子供が、疑わしい注射を受けていたりすることである。しかも〔反アサド派の〕この映像において提示されているる、シリアにおけるガス攻撃の「証拠」として流布する写真は、逆にエジプトにおける弾圧の犠牲者を撮影したものである。


3)メディアにおいて神経ガス攻撃の「真実性」を裏付けている無名者の証言。例として『レプッブリカ』が収集したそれでは、ある自称病院医が複数の病院で1300人の死者を確認しているとのべているが、どのような病院でそれらが取り扱われたには触れられていない(インタヴュアーが彼にそれを訪ねていない)。


それでは、何が起こったのか?


ゴータ地区に8月21日に何が起こったかは、いまだ明らかではない。


非通常兵器からの防護の分野で著名な専門家であるGwyn Winfieldによれば、自由シリア軍の中で対立している多くの派閥のうちの一つが、暴動鎮圧用薬剤の使用において事故を起こした可能性がある。


「シリア・トゥルース」〔リンクはトップページにかかっている〕によって、ZamalkaとEin Tarmahの集落の住民へ質問することで行われた最初の調査によれば、女性と子供の死者はそれぞれ17人と33人(もしくは34人)、男性の死者はそれ以上にのぼるようである。事件の原因についてはいまだ明らかになっていない。いずれにせよ「シリア・トゥルース」が指摘しているのは、虐殺が発生したとされるZamalkaとEin Tarmahの村落は、首都の居住地域(ほとんどは親政府派シリア住民)および軍飛行場の近辺にあるので、神経ガスを使用した攻撃によって、シリア政府が何らかの利益を得ることは、たとえ付随的なものであれないだろうということである。


さらに、同じ「シリア・トゥルース」は、シリア軍がこの二年半の間に化学兵器を使用する意図をもっていたとすれば、それに適したきっかけはすでに何度もあったと指摘している。とりわけ一年前、森に囲まれた山岳地帯にあるJabal al-Zawiに籠てこもった約3千人の「反乱軍」と戦っていた時がそうである。そこで化学攻撃が行われれば、早急に状況の「決着をつける」ことになったであろう上に、総体として人の注意を引かずに行えたであろう。しかしそこでは化学攻撃は実現しなかった。すると、諸国の拡大鏡がこれほど近くにある地域において、今になってそれを行わなければならない理由とは一体何なのだろうか?


「ガス攻撃」の発生地となったはずの地域からの最新の証言を集めた、「ムシャラハー(Mussalaha/注3)」に所属する女性宗教者Agnès Mariam de la Croixに対し、「シビア/リリア」は電話でインタヴューを行った。Agnès修道女は、Ein Tarmahから道路一本だけの距離にある、Kashkoulに住んでいる知人たちと接触したことに言及している。彼らのうち、何かを感じたり聞いたりした人はおらず、吐き気や頭痛その他に悩まされた人々はいなかった。匂いもしなかった。Jobarからわずかな距離にある、Abassin Squareに住んでいる女性も同様であったという。


ともあれこの点について、また神経ガス攻撃という推定の別の側面については、近いうちにまた触れたい。


「シビア/リリア」編集部


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繰り返される物語


シリアにおける化学兵器に関する警告のいくつかを追うための一覧表(大量破壊兵器を口実にした、ブッシュがイラクに対して開始した2003年の戦争について言及しているのではない)を追うことである。多くの場合、それらは武装反対派に対し好ましいインパクトをもたらしてきた。


国際的に重要な会合が持たれると、必ずその裏で、反乱側から定期的に様々な虐殺の告発がなされたことについても想起しよう。


化学兵器に関する一覧表


ここに挙げる一覧表は、シリアに対する戦争のエスカレーションと「化学兵器」への言及が奇妙にも一致していることを示している。


2012年8月20日:バラク・オバマ米国大統領、アサド政権が「レッド・ライン」を超えて化学兵器を活用するならば、介入へ動くと脅迫。


2012年12月:NATOはトルコ領へパトリオット・ミサイルを設置するか否かを決定することになる。それに先立つ週においては、化学兵器に対する警鐘のエスカレーションが存在する。「爆撃機によって使用されるそれらが、すでに準備されているようだ」、かくしてオランダとドイツの当惑は取り下げられ、有事の化学兵器の発射からトルコを守るという口実によって、パトリオット・ミサイルが設置される。


2013年3月19日:アレッポ北部の地区であるKhan al-Assalで炸裂した、おそらく化学成分を搭載していた一発のミサイルによって、30人以上が死亡。政権側と反乱側は攻撃の経過についてお互いを非難。


2013年4月25日:アメリカの諜報機関は、政権側による科学兵器の使用についての兆候をつかんだと公表。しかしジョン・ケリー国務長官は確かな証拠はないと明言。


2013年5月6日:旧ユーゴスラヴィア内戦の国際刑事法廷における主席検事であったカルラ・デル=ポンテは、反乱側によるサリン・ガスの使用の証拠について言及。


2013年5月18日:アサドはインタヴューで、イラクに対してなされたように、シリアに対する攻撃を正当化するための方便として化学兵器が使われていると非難。


2013年6月11日:国連はダマスカス政府の招待を受諾し、Khan al-Assalでの化学兵器の使用について調査するためにシリアへ使節を送ると決定。


2013年6月14日:アメリカは自国の諜報機関が、政権側による科学兵器の使用についての資料を確認したと声明し、反乱側への軍事支援を開始する。


2013年7月9日:ロシアは、自国の専門家がKhan al-Assalにおいて反乱側が使用したサリン・ガスのサンプルを採取したと発表し、80ページの報告書を国連、中国、フランス、アメリカならびにイギリスへ提出する。


2013年7月24日:国連調査使節団長Ake Sellstromと、国連武装解除委員会の代表Angela Kaneは、調査の条件を交渉するためにシリアへ赴く。


2013年8月18日:Sellstromに率いられた20人のチームは、化学兵器による攻撃を受けて間もないとされる三つの地点を調査するため、ダマスカスに到着する。


2013年8月21日:反対派軍事勢力は、ダマスカス東部地域で神経ガスを活用したとして政権を非難。アメリカ・フランス・イギリスによって国連安全保障委員会が緊急招集される。






(注1):現在同サイトでは、イタリアの現野党「5つ星運動」と「左翼・エコロジー・自由」の所属議員へのささやかなネット署名活動が行われており、伊・仏・西・英語による介入反対アピールも読むことができる(たとえば英語のものはこちら)。後者の内容は自国民向きだが、最後の「シリアに平和をもたらすために、イタリアに何ができるか?」という一節などは、「我々」にも示唆するところがあろう。また、サイトの主催者である平和活動家Marinella Correggiaは、2013年2月末にローマで開かれた「シリアの友サミット」の記者会見の席で、アメリカのジョン・ケリー国務長官、イタリアのジュリオ・テルツィ外相(当時)、そしてシリアの武装勢力のリーダーの一人であるMoaz al-Khatibらに対し、メッセージボードを使った抗議パフォーマンス(本人の言によれば「代理で暴力を用いる者に対抗する小さな非暴力活動」)を行っている。コッレッジャ氏の活動は、目下ノーベル平和賞受賞者である大統領が空爆準備を進めているアメリカでもささやかな注意を引いたようで、たとえばかの国の群小共産主義政党の一つ「社会主義解放党」のサイトには、英語になった彼女の見解が載っている。トルコの左派新聞『soL』によるインタヴューの重訳というのが何とも不思議な感じであるが、これも興味のある方は参照されたい。


(注2):これを書いている9月7日23時(日本時間)現在、「8月20日」にYou Tubeへアップされた「毒ガス映像」――コメント欄には「撮られた場所と投稿された場所の時刻が異なるため」と解釈/反駁している人がいる――は何の支障もなく見ることができる一方、それがフェイクであると主張する「検証映像」の方は、アクセスする前に「見た人を不快にさせる、または不適切な可能性があると You Tube コミュニティが特定したものです。ご自身の責任において閲覧してください」というワンクッションが入る。本物にせよ偽物にせよ、「毒ガスを受けた子供たち」の映像は、少なくともその「検証映像」より生理的にショッキングであり、その意味では前者の方こそ何の気なしに見ることの警告が必要なように思われるのだが。


(注3):「和解」の意で、シリア内戦に際し活動を開始した複数の宗派の関係者を中心とした平和運動。フィデス通信(ヴァチカンの通信社)が、彼らの活動や発言をたびたび取り上げている。なお、わたしが目にした別のAgnès師へのインタヴューによれば、彼女はアサド政権を「社会主義的でスターリン主義的な全体主義政権」と規定しつつも、「シリア人民への愛と、もし政治的な考えによって出来事の真実を確認することから遠ざかってしまえば、教会が信頼を失ってしまうであろう」という懸念から、民間平和運動の促進につとめ主流メディアの報道の誤謬に異議を唱える由を述べている。


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