引用(9)

一匹の大きな犬がハイウェイのほとりに立っている。もしも犬が信頼しきって歩き出せば、車に轢かれてしまうだろう。その安らかな表情は、この犬が平静は大事に保護されていたこと、誰からも悪いことをされたことのない飼い犬であることを証している。しかし誰からも悪いことをされたことのない上流ブルジョワジーの子弟たちは、顔に安らかな表情を浮べているだろうか。彼らは、今車に轢かれようとしているこの犬に劣らず、手厚く保護されていたのだが。


アドルノ&ホルクハイマー『啓蒙の弁証法』(徳永恂訳)




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