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「中東革命」は誰のものか、または匪賊対革命ごっこ(夏休み特大号その2)

さて、当方の私事多忙につき、リビア戦争に関する旧宗主国イタリアにおける懐疑論や反対意見の(ニッチな)紹介からしばらく離れてしまっていた。今回久しぶりに紹介したいのは、雑誌『ファミーリア・クリスティアーナ〔キリストの家族〕』のサイトに6月14日づけで掲載された、Marinella Correggiaの「リビア:もしすべてがうそだとしたら?」である。同誌は1931年の創刊という歴史と100万人を超す読者をもつことを自負しており、イタリアでもよく知られた雑誌の一つであるが、この記事はリビア戦争の「虚偽」について強く踏み込み、様々な外国語サイトの情報をまとめて引用している。紹介されている「対抗情報」は、英・仏語が読める諸君にはすでになじみのものがほとんどかもしれないが(記事には特に、カナダの「グローバル・リサーチ」発の情報が多く引かれている)、この記事から2カ月経過している現在も、「我々」の間でこのような「まとめ」を行っている人はあまりいないので、この遅すぎる紹介にも一定の意味はあるだろうと考える。


掲載分は、数字で区切られた3つの章がそれぞれのページに分かれているが、拙訳では一つに統一してある。また今回は、家庭全体で読まれることを志向する雑誌の性格を考慮し、語尾を「です・ます調」にしてみた。なお、〔〕内には訳の簡単な補足を付した。


http://www.famigliacristiana.it/informazione/news_2/dossier/libia_140611115251.aspx
http://www.famigliacristiana.it/informazione/news_2/dossier/libia_140611115251/mercenari-miliziani-e-cecchini_140611120422.aspx
http://www.famigliacristiana.it/informazione/news_2/dossier/libia_140611115251/oltre-750-mila-sfollati_140611120908.aspx


―――――


《リビア:もしすべてがうそだとしたら?》


この資料集には、戦争、NATOの作戦、軍事干渉の目的について考えるための、良質の論拠の一端があります。


マリネッラ・コッレッジャ
2011年6月14日




1:すべての虚偽の母

(写真:「真実検証委員会」事務所、トリポリにて)


イタリアも参加している、リビアにおけるNATOの戦争(「ユニファイド・プロテクター」作戦)は、国際世論に対して「カダフィに虐殺されているリビア人を保護する」人道的介入として説明されています。しかし実際にはNATOとカタール〔衛星放送「アルジャジーラ」のスポンサーでもある〕が、戦略地政学的な理由によって、抗争中の武装した二つの武装勢力の一つである、ベンガジの反乱側(もう一方にあるのはリビア政府)を支持するために肩を並べているのです。そしてこの戦争は、地政学雑誌『Limes』でルーチョ・カラッチョーロ〔Lucio Caracciolo〕が言及したように、虚偽と欠落で満たされた「情報の虚脱状態〔collasso dell'informazione〕」として言及されていくことでしょう。


イタリア人女性企業家のティツィアーナ・ガマンノッシ〔Tiziana Gamannossi〕と、カメルーンのアクティヴィストによってトリポリに設立され、その他の諸国のアクティヴィストも参加している、「真実検証委員会」(Fact Finding Commission)は、こうしたことを研究しています。


すべての虚偽の母:「1万人の死者と5万5千人の負傷者」。戦略地政学的な真の理由を持った干渉(http://globalresearch.ca/index.ph p?context=va&aid=23983)のためのこの口実は、2月に考案されています。先の2月23日、反乱がはじまって間もない時期において、衛星テレビ局「アル=アラービーヤ」がツィッターを通じ、虐殺を非難しました。つまり「リビアにおける1万人の死者と5万人の負傷者」、つまりトリポリとベンガジにおいて空爆が行われ、〔急造の〕共同墓地がつくられるにいたったと。この情報源はSayed Al Shanukaで、彼はパリから国際刑事裁判所のリビア人メンバーとして発言しています(http://www.ansamed.info/en/libia/news/ME.XEF93179.html)。


この「ニュース」は世界中を駆け巡り、国連安全保障委員会、後にはNATOの干渉の正当化の主な理由を提供しました。つまり「市民を保護する」というそれです。しかしその逆に、当の国際刑事裁判所の側による否定の声明が、世界を駆け巡ることはありませんでした。「Sayed Al Shanuka――またはEl Hadi Shallouf――氏は、当法廷のいかなるメンバーでも顧問でもありません」(http://www.icc-cpi.int/NR/exeres/8974AA77-8CFD-4148-8FFC-FF3742BB6ECB.htm)。


トリポリおよびリビア東部において、2月に大勢の人々が虐殺されたという写真やビデオはあるのでしょうか。いいえ。リビア軍の飛行機がトリポリの三つの地区に爆撃したというのは? まったく証明がありません。破壊の痕跡がまったくないのです。ロシアの軍事衛星は、事態の最初から状況をモニターで監視していたのに、何も発見していません(http://rt.com/news/airstrikes-libya-russian-military/)。海岸につくられたという「共同墓地」はどうでしょうか? それはSidi Hamedにある公営墓地(墓穴は別々!)の映像であり、そこでは去年の8月に改葬の一般的作業が行われていただけでした(http://www.youtube.com/watch?v=hPej4Ur_tz0)。それでは、東リビアにおいて2月に突然カダフィが命令した殺戮については? まったくです。そのような現場で、携帯電話で写真や動画を撮る人が誰もいなかったということがありうるのでしょうか?


カメルーン人で地政学のエキスパートであるジャン=ポール・ポガラ〔Jean-Paul Pougala〕(ジュネーブ大学の教師)もまた、アフリカの病院すべてを合わせても、緊急事態のために確保されているベッドの数はわずか1万しかなく、5万5千人の負傷者を治療するためには十分ではないだろうと指摘しています(http://mondialisation.ca/index.php?context=va&aid=24960)。




2:傭兵、民兵、狙撃兵
(写真:ミスラータから疎開してきたリビアの子供たち)


敵を悪魔化するという作業は、対イラク戦争においてすでに、アメリカの広告代理店Wirthlinグループが大きな成功をおさめていますが、それはリビアの場合でも非常にうまく行きました。「カダフィは黒人の傭兵を使っている」。リビアの兵士は常に「傭兵」「民兵」「狙撃兵」と定義されています。特にメディアは、親政府側の戦闘員の中における、暗黒大陸〔=アフリカ、原文ママ〕の非リビア人市民の存在を強調しています。反乱側は証拠として、様々な死体の写真を撮っています。しかし、リビア南部の部族のほとんどは黒い肌をした人たちです。


「カダフィの傭兵、民兵や狙撃兵たちは、バイアグラを使用して女性に暴行を働いている」。リビア政府はバイアグラを兵士に与え、彼らに多数の強姦をさせるがままにしているとして、アメリカの国連代表スーザン・ライスに告発されました。しかし、国際組織ヒューマン・ライツ・ウォッチのフレッド・アブラハムス〔Fred Abrahams〕は、性的襲撃行為については複数の信憑性ある事例が存在するものの(一方でリビア政府と何人かの移民は、反乱側に対する同様の告発へと動いています)、政権側からの組織的な命令によってそれがなされている証拠はないと認めています。同様に、一家皆殺しや8歳の子供たちへの暴行への告発についても、矛盾した諸証言にのみ基づいた(またイギリスのスキャンダル雑誌にのみ報じられた)
(http://www.dailymail.co.uk/news/article-1380364/Libya-Gaddafis-troops-rape-children-young-eight.html)ものです。


「カダフィはミスラータでクラスター爆弾を使用した」。非政府組織と『ニューヨーク・タイムス』は、Mat-129型〔120型の誤りか〕爆弾の子爆発体が都市で発見されたとしています。しかし、各種サイトで取り上げられた「ヒューマン・ライツ・インヴェスティゲーション」の調査(http://www.uruknet.de/?l=e&p=-6&hd=0&size=1)によれば、NATOの艦船から砲撃された可能性があります。


「ミスラータでの市民の殺戮」。武装した政府支持側と反乱側の衝突の中で、それに巻き込まれ、確かに数百人ないしは数千人の市民が亡くなっています。ただしどちらの側も、殺戮と残虐行為の告発を相手に向けています。




3:75万人以上の避難民
(写真:子供とともにいる、負傷したリビアの正規軍兵士。ズリテン〔トリポリとミスラータを挟んだ位置にある都市のひとつ〕にて)


何万もの市民の犠牲……NATOの「ミサイル攻撃」の付随効果。3月から開始された空からの爆撃において、数百人以上の市民が死亡(リビア政府によれば700人以上)し、常時数百人が病院で手当てを受けているとともに、この戦争からは75万人を超える疎開者と避難者が生まれています。これは国連人道事務所のヴァレリー・アモス〔Valerie Amos〕の提供したデータですが、5月13日までのものです。リビアの市民が国内の別の場所へ移っているのとともに、とりわけ非常に多くの移民が仕事のないまま暴力の不安にさらされています(貧窮のニジェールに、6万6千人が帰国しただけです)(http://www.mondialisation.ca/index.php?context=va&aid=24959)。今年の初めからは、すでに1500人を超える移民が地中海で死亡しています。


黒人と移民になされている残虐行為の被害。アフリカ諸国の政府とリビアにいる黒人移民による告発、ならびに「人権国際連盟〔Fédération internationale des droits de l’homme〕」のような人道組織が集めた証言(www.lexpress.fr/actualite/monde/libye-des-exactions-anti-noirs-dans-les-zones-rebelles_994554.html)によれば、東リビア――反乱側に掌握されている――において、無実の移民労働者が「カダフィの傭兵」として告発され、私刑、拷問、殺害といった何らかの人種主義的な行為の、また窃盗の対象となっています。反乱側が発信している様々な映像によれば、彼らが死刑に処している、また虐待しているリビア政府の兵士は、とりわけ黒人です(http://fortresseurope.blogspot.com/search/label/Rivoluzionari%20e%20razzisti%3F%20I%20video)。国際社会は今日までこうした告発を無視してきました。


すべての協定の提案が退けられている。リビアの内戦の当初から、最初はラテンアメリカ諸国、後にはアフリカ連合(UA)によって、休戦および早期に選挙を実施するという協定の提案が様々になされてきました。NATOおよび反乱側はまったくこれらを無視してきています。



―――――


筆者のコッレッジャ氏についてこれまでわたしが知るところはなかったが、彼女の関わっている著作を検索すると、ブルキナファソの軍人政治家であったトマス・サンカラの文集や『世界の南部からのベジタリアン料理』などが目につく。特に近年の著作に付せられた紹介によれば、中南米、アフリカ、インドなどの調査経験を持つアクティヴィストであり、平和主義運動、フェア・トレードの推進、政治犯や死刑囚の支援、環境および動物の保護などに広く携わっているようである。リビアの事態を受けて立ちあげた彼女の臨時ツィッター(抗議を訴えるメッセージが1件あるのみ)の「フォローしている」には、「リビアにおける軍事干渉への反対」の署名者の一人であるジェンナーロ・カロテヌート(Gennaro Carotenuto)に加え、ウーゴ・チャベスの名前が挙がっている。こうした人物の寄稿を受け入れることには、雑誌の内部でも議論はあるのだろうが、かの国の民主党をはじめとする世俗的「中道左派」がベルルスコーニ政権一つひっくり返せないまま空爆続行への追加予算を容認しているのと比べ、カトリック界に属する人々が(おそらくは販売上のリスクも一定背負って)このような言説を提供していることは、同じ神を信仰しない者にも評価されてよいことではないだろうか。




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