引用(2)

挫折挫折とすりきれたレコードみたいにいうのは困るけれども、他方、転向問題でいったことの繰り返しになるけれども、自分がコミットした思想に挫折して深く傷つくという現象が圧倒的にコミュニズムという思想の場合におこるということは、非共産主義者としての私は私なりに反省させられます。自称自由主義者や自称民主主義者には、およそ思想的挫折などとは無縁な「現実主義者」が圧倒的に多い。挫折の病理面をみると同時に、そういう「現実主義者」の盲点も見すごせない。思想というものがとかくお化粧や衣装みたいなものとしてしか受け取られていないのが、まさに日本の「イデオロギー」状況の大勢なので、だからこそ、その盾の半面として、そんなものはいっそみんな脱いで裸になれというストリップ主義にすぐ傾斜する。イデオロギーなんて幻想なんだというそういう思想的「偏向」を持っているんだという自覚がないのがいわゆる現実主義者で、そこらにゴロゴロある。



梅本克己・佐藤昇・丸山真男『現代日本の革新思想』、丸山の発言より。


※原文にある強調の傍点は太字に直した。
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